育児時短就業給付とは?手取りを守りながら復職するための完全ガイド【2025年新制度】
「育児休業が終わって職場に戻りたいけど、時短勤務にすると給料がかなり減ってしまう…」
そんな不安を抱えているママは多いのではないでしょうか。育休中の給付と違い、復職してからは基本的に実際に働いた分しか給与は出ません。子どものお迎えのために時短勤務を選べば、月収が2割〜3割以上減るケースも珍しくありません。
そこで2025年4月から始まった制度が 「育児時短就業給付金」 です。時短勤務で収入が下がったママ(とパパ)を支援するために新設されたこの給付金、まだ知らないという方も多いようです。この記事では制度の仕組みから申請方法、実際にどれくらい手取りが変わるかまで、詳しく解説します。
育児時短就業給付金とは?制度の基本を押さえよう
育児時短就業給付金は、2歳未満の子どもを育てるために時短勤務をしている雇用保険の被保険者に対して、時短期間中の賃金の最大10%が支給される制度です。
2025年(令和7年)4月1日に新たに創設されたこの制度は、「こども未来戦略」の一環として位置づけられており、財源は「子ども・子育て支援金」から充てられます。
時短勤務をすれば当然ながら給与は減ります。この制度は、その収入減を一部補てんし、仕事と育児の両立をしやすくすることを目的としています。育児休業給付(育休中の給付)とは異なり、復職後・時短勤務中に受け取ることができる点が大きな特徴です。なお、育休給付を受けながら同時に育児時短就業給付を受けることはできません。
誰がもらえる?対象者の要件を確認しよう
結論から言うと、雇用保険に加入している2歳未満の子を持つ親であれば、パートや派遣社員も含め対象になり得ます。ただし、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。
基本的な要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 養育する子の年齢 | 2歳未満の子どもを養育している |
| 雇用形態 | 雇用保険に加入している(正社員・パート・派遣など) |
| 勤務形態 | 所定労働時間を短縮して就業している |
| 賃金の条件 | 時短就業中の賃金が、時短開始前の賃金の100%未満に低下している |
雇用保険の加入期間に関する要件
以下のどちらかを満たす必要があります。
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて時短就業を開始した場合(育休明けで直接時短に入るケースはこちら)
- 時短就業を開始する日の前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上ある場合
対象にならないケース
- 子どもが2歳以上になった後
- フリーランス・自営業など雇用保険に加入していない働き方
- 時短勤務をしていても、賃金が時短前と変わらない場合
- 育児休業給付を受給中(育休中は時短就業給付の対象外)
「自分は対象になるか」が不明な場合は、会社の人事担当者またはお近くのハローワークに確認してください。
いくらもらえる?給付額の計算方法
給付率は時短期間中の賃金額の10% を基本としています。ただし、時短後の賃金が時短前の90%を超えているケースでは、調整後の支給率が適用されます。
給付率の目安
| 時短後賃金の水準(時短前比) | 支給率 |
|---|---|
| 90%以下 | 10% |
| 90%超〜100%未満 | 調整後の支給率(10%より低くなる) |
| 100%以上(賃金が下がっていない場合) | 支給なし |
上限額・下限額(2025年8月1日時点 ※毎年8月に改訂)
- 支給上限額: 47,139円/月(計算元の賃金上限:471,393円/月)
- 最低限度額: 2,411円/月
出典: 厚生労働省 | 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
具体的な計算例
例1:育休前の月収30万円 → 時短で月収22.5万円になった場合(勤務時間25%減)
- 時短前賃金: 300,000円
- 時短後賃金: 225,000円(時短前の75% = 90%以下)
- 給付額: 225,000円 × 10% = 22,500円
月収の減少分75,000円に対して22,500円が補てんされます。給付金は非課税のため、そのまま手取りに加わります。また、時短勤務により給与が下がると社会保険料や所得税・住民税も軽減されるため、それらと合わせて手取りの減少幅を抑えることができます。
例2:育休前の月収30万円 → 時短で月収28万円になった場合(約7%減)
- 時短前賃金: 300,000円
- 時短後賃金: 280,000円(時短前の93.3% = 90%超)
- 給付額: 調整後の支給率が適用され、10%より低い率で計算されます
このように、時短後の賃金減少幅が大きいほど給付の恩恵を受けやすくなっています。育休明けで1日8時間から6時間に短縮した場合(25%減)のような大幅な時短のケースほど効果が大きいと言えます。
給付金の試算については、厚生労働省の公式サイトで試算ツールが提供されています。実際の数字を確認したい場合はそちらも活用してみてください。
申請はどうする?ハローワークへの手続きの流れ
育児時短就業給付金は、基本的に事業主(会社)がハローワークに申請する仕組みになっています。従業員本人が直接申請することは原則ありませんが、会社側の対応が難しい等のやむを得ない事情がある場合は本人申請も可能です。
申請のステップ
STEP 1: 会社の人事・総務担当者に申し出る
まず「育児時短就業給付金を申請したい」と会社に伝えましょう。2025年に始まった新しい制度のため、会社側がまだ把握していないこともあります。厚生労働省のリーフレットを見せながら説明すると伝わりやすいです。
STEP 2: 会社が必要書類を準備する
主な書類は以下の通りです。
- 育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者所定労働時間短縮開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳・出勤簿など
STEP 3: 会社がハローワークに提出する
初回は「受給資格確認」と「初回支給申請」を同時に行うことができます。2回目以降は原則として2か月ごとにまとめて申請します。
STEP 4: 給付金が振り込まれる
支給決定後、給付金は指定口座に振り込まれます。申請先は事業所所在地を管轄するハローワークです。
申請期限に注意
初回の申請は、支給対象月の初日から4か月以内(4か月を経過する日の属する月の末日まで) に行う必要があります。たとえば4月・5月分の申請は8月31日までが期限です。申請が遅れると給付を受けられなくなる可能性があるため、復職後なるべく早めに会社へ申し出ることが大切です。
育児休業給付との違いを整理しよう
最も大きな違いは、育児休業給付が「休んでいる間にもらえる」のに対し、育児時短就業給付は「復職して時短で働きながらもらえる」点です。似た名前ですが、対象となる時期と給付率がまったく異なります。
| 比較項目 | 育児休業給付 | 育児時短就業給付 |
|---|---|---|
| 受け取れる時期 | 育児休業中(休んでいる間) | 復職後・時短勤務中 |
| 給付率 | 育休開始後180日: 最大67% / 181日以降: 50% | 時短中賃金の最大10% |
| 子の年齢 | 原則1歳まで(条件次第で最長2歳まで) | 2歳未満 |
| 申請主体 | 事業主がハローワークに申請 | 同左 |
育休から復職して時短勤務に入ると、育児休業給付は終了し、育児時短就業給付に切り替わるイメージです。給付率は下がりますが、働きながら受け取れる点が育児時短就業給付ならではの特徴です。
また、「2025年10月から変わった出生後休業支援給付」(育休中に父親が休業した場合に手取りが実質10割に近づく制度)とも異なります。制度が複数あって混乱しやすいため、自分がどのフェーズにいるかを確認してから活用する給付金を判断しましょう。
育児時短就業給付を活かした復職プランの立て方
育児時短就業給付を最大限活かすには、復職前に会社に相談し、時短勤務の時間設定と保育園のスケジュールを合わせるのがポイントです。
復職前に確認しておきたい3つのこと
1. 会社に時短勤務制度があるか確認する
育児・介護休業法では、3歳未満の子を養育する従業員が希望すれば1日6時間(所定労働時間8時間の場合)の時短勤務ができることを事業主に義務付けています。制度の詳細は会社によって異なるため、人事に確認しましょう。
2. 時短にした場合の給与をシミュレーションする
時短後の月給に給付金の10%を加えた手取り見込みを計算しておきましょう。厚生労働省の公式サイトには試算ツールも用意されています。社会保険料や税金との兼ね合いも踏まえると、より正確な数字をイメージできます。
3. 保育園のお迎え時間と勤務時間を合わせる
時短勤務の設定時間によって、保育園のお迎えに間に合うかどうかが変わります。給付金をもらいながら「お迎えに間に合う勤務設定」と「職場への貢献度を保てる働き方」のバランスを探るのが理想です。
フルタイム復帰 vs 時短復帰の比較
| 比較 | フルタイム復帰 | 時短復帰(育児時短就業給付あり) |
|---|---|---|
| 月収 | フル | 時短後賃金 + 給付金10% |
| 保育園のお迎え | タイトになりやすい | 余裕が生まれやすい |
| 体力的な負荷 | 高くなりやすい | 抑えられる |
| キャリアへの影響 | 影響が出にくい | ポジションにより影響あることも |
どちらが正解というわけではありません。子どもの月齢・家族のサポート体制・職場環境によって最適解は異なります。育児時短就業給付は「時短を選んでも金銭的なダメージを少し和らげてくれる仕組み」として活用するのが現実的です。
パパも対象。夫婦で使い合うことも可能
育児時短就業給付金は、ママだけでなくパパも対象です。2歳未満の子どもを養育しながら時短勤務をしていれば、父親も同様に受給できます。夫婦それぞれが時短勤務制度を利用し、両方が給付を受けることも可能です。育児の分担と収入確保を両立するひとつの選択肢として検討してみましょう。
まとめ
- 育児時短就業給付金は2025年4月に新設された制度で、2歳未満の子を養育しながら時短勤務をする雇用保険加入者(ママ・パパ問わず)が対象
- 給付率は時短中の賃金の最大10%。時短後賃金が時短前賃金の90%以下の場合にフルの10%が支給される
- 上限は47,139円/月(計算元の賃金上限:471,393円/月 ※毎年8月1日改定)で毎年改定。最低保証は2,411円/月
- 申請は会社(事業主) がハローワークを通じて2か月ごとに行う。復職後すぐに人事担当者へ相談するのがポイント
- 育児休業給付(育休中の給付)とは異なり、復職して時短勤務中に受け取る給付金
制度の詳細は個人の状況によって異なります。申請を検討している場合は、まず会社の人事担当者またはお近くのハローワークへ相談してみてください。コールセンター(0570-200-406 / 平日8:30〜17:15)でも案内を受けることができます。