中学生以上の子どもが対象になっている「児童手当」を減額するという政府の方針が出たことご存知ですか? 高所得世帯向けの特例給付の減額、共働きの場合、夫婦合算に変更することも検討するなどして波紋を広げています。
今回、政府が検討している方針と、それにまつわる感想や意見をご紹介します。
現行の児童手当からどう変わる?
まず、児童手当に関し、現行の制度を確認しておきましょう。
■現行の制度
<一定の年収以上>
一律5,000円
夫婦で収入の多い方を基準とする。
扶養家族3人の場合960万円が目安
<所得制限あり>
0〜2歳 1万5,000円
3歳〜小学生 第2子まで:1万円 第3子まで:1万5,000円
中学生 1万円
●所得制限限度額●
出典:内閣府HP
■見直し案
<一定の年収以上>
一律5,000円 → 2,500円に減額、もしくは給付廃止
夫婦で収入の多い方→夫婦合算
このような計算になった場合、高所得と判定されて手当が減る共働き世帯では子ども60万人分の支給に影響が出ると言われています。
こうして浮いた財源を待機児童問題に終止符をうつため、保育施設整備などに活用すると発表しています。
今回の見直し案に関するSNSの声
子育てアプリの開発などを行っているカラダノートが特例給付を受け取っている世帯を対象に緊急アンケートを行いました。
児童手当特例給付の廃止検討について
不平等に感じる……64%
金銭的に不安……16%
制度を変更・廃止する理由に待機児童の解消があげられていることについて
<制度変更に関わる人>
とても不満……61%
少し不満……19%
<主たる生計者の年収が800万以下>
とても不満……66%
少し不満……18%
どちらにしても不満に思う人が多いという背景には税金の使い道への不信感などがあるようです。
一方で、約1割は「待機児童解消が実現するなら納得」という回答もありました。
・子どもに対しては平等に給付でいい。そもそも今の5千円だっておかしい。高所得者層はすでに累進課税で高い税金を支払っている。税の二重取りのようなものだよね。
・バカげてる、税金を払うだけ払わされ、手当ては何も貰えない!高所得者の線引きがあまりにも低すぎる!
・単純に、親の所得によって、子供に対する国からの恩恵が異なることが、まずおかしいです。子供に対しては平等にあるべき。児童手当、子供のために使います。
・少なくともサラリーマン家庭の高所得者がなぜ高所得者なのか、親に自費で教育してもらったからです。同じように子供を育てるためには、自費で教育する必要があります。税金でその財源を奪うなら、児童手当は同様に払われるべきです。
・微妙なラインの為、仕事時間を減らそうと思う人が増えます。→片親の年収を調整します。→国は、税収を確保したいの減る→男女格差が出来る。直接的には子供を産むのを控える。→少子化が進む。子育て支援の中でこのように変更するのなら、今後も不安と残念しかないです。
・我が家はいわゆる高所得世帯になります。対象となる子どもが3人いますが、現在児童手当は全員各5000円。食費や教育費など何もかもお金がかかるため節約生活です。第一子は来年から高校生ですが、無償制度の対象外になります。周りを見ると児童手当をもらっている世帯の方々のほうが、お子さんにたくさんの習い事をさせたり、ブランド服を着せていたり。
・高所得者です。子ども3人です。毎月給料の45%税金に持っていかれています。配偶者控除無し、高校無償化も関係なし、奨学金を申し込む資格無し、末の子どもは発達障害児ですが障害児給付金も所得制限で貰えません。子どもに付きっきりなので私は働けません。高額医療補償制度も通常とは違うそうです。人より税金を払って支えているのに、自分の子どもは支えてもらえないっておかしくないですか?
・女性活躍だとか言っておきながら、夫婦合算の所得で手当てをけずられるなら、働くのも子供産むのもやめるわ。
・賛成です。そもそも昔は児童手当てなんてなかったし、子供が欲しいのなら、それ相応の苦労はつきものだと思うから。
・児童手当の目的はなんなのでしょうか。貧困家庭が生活に困っているならば生活保護で良いじゃないですか。そうではなく、子供の養育に充てられるべきものですよね。払うなら払う、払わないなら払わない、いずれにしろ所得による格差があるのは本来の趣旨を政府の都合でねじ曲げているとしか思えません。
今後の働き方や出産人数への影響は?
所得制限の算定基準が「夫婦合算」となった場合、共働き世帯のママたちからはこんな声が上がっています。
・夫婦どちらかが働かない方がよい
・共働きだと保育料も高くなるのん、児童手当を減らされるのは納得できない
・女性活躍推進といいながら、政府は逆のことをしている
一方で、共働き世帯は稼いでいるはずなのでカットできる部分は切らないとダメという意見もありました。
どちらにしても、今後の働き方について考え直す世帯が増えてくるかもしれません。
もし特例給付が受け取れなくなった場合、2人目以降の妊娠や出産を希望するかどうかについても意見があがっています。
・支援のない中の子育ては不安
・忙しく共働きしているのに税金も多くとられ、医療費も補助対象外、あげくに児童手当もなくなるのなら、これ以上産めない
・子供にきちんと教育を受けさせることが不安だから無理
・税金をかなり払うため、年収が1,000万でも足りない
もし児童手当の見直しが実行された場合、出生率にも影響が出そうです。
子育てにかかる費用はどのくらい?
子育て費用というのは、教育費だけでなく、衣類や食費、生活用品など子どもを育てるために必要な費用のことです。
一般的に以下のような費用がかかると言われています。
<0歳〜中学生>
0~6歳(未就園児)…約84万円
0~6歳(保育園・幼稚園)…約122万円
小学生…約115万円
中学生…約155万円
未就学児の場合は、保育園か幼稚園かによっても差があります。
もちろん、中学を私立にするか公立にするかによっても変わってきます。
<高校生>
公立高校…約45万円/年
私立高校…約104万円/年
高校生はこれ以外に、大学進学を考え、塾や予備校に通うかによって費用が異なってきます。
<大学生>
国公立大学…80.1万円
私立大学文系…90.4万円
私立大学理系…85.5万円
このほかにも通学代、テキスト代などがかかわってきます。
子育てでもらえる/補助されるお金は?
現状、子育てでもらえるお金は以下のようになっています。
健康保険に加入していれば出産育児一時金という名目で、子ども1人に対して42万円支給されます。
会社で加入している健康保険から支給される手当。出産以前42日から出産翌日以降の56日までの範囲内で、支払われます。
2019年10月より、3歳児クラスから5歳児クラスまでの保育園、幼稚園、認定こども園の保育料が無償化になりました。 この結果、約70~150万円の費用削減となります。
所得により、高等学校等就学支援金として授業料相当の金額が支給されます。
中学校卒業までの間で受給できる手当。
総額で200万前後になるため、これが支給されなくなると家計に影響が出る世帯も多そうです。
まとめ
政府も子育て支援策をいろいろ出していますが、人によって受け取り方も様々です。
家族や子供を守るためには、やはりそれぞれの家庭で工夫が必要になりそうです。