手足口病とは?乳幼児の症状・感染経路・家庭でのケアと受診のタイミング【2026年版】
毎年夏になると「うちの子も手足口病になった」という声が保育園やSNSで広がります。保育園でひとりの子がかかると、クラス全体に一気に広まってしまうことも多く、感染力の強さに驚くママも少なくありません。
手足口病は適切なケアをすれば多くの場合は自然に回復しますが、まれに重篤な合併症を引き起こすこともあります。「熱がそこまで高くないからと様子を見ていたら、急に高熱でぐったりしてしまった」というケースも報告されています。
この記事では、手足口病の症状・感染経路・家庭でのケア方法・受診すべきタイミング・保育園への登園基準について、公的機関の情報をもとに詳しく解説します。
手足口病とは?特徴と流行時期
手足口病は口の中・手のひら・足底などに水疱(水ぶくれ)を伴う発疹が現れる急性ウイルス性感染症です。名前のとおり「手・足・口」に症状が出ることが大きな特徴で、主に乳幼児の間で夏に流行します。
出典: 厚生労働省 | 手足口病
流行時期と感染しやすい年齢
日本では毎年6〜9月を中心に患者数が急増します。国立感染症研究所の最新の報告では、感染者のうち1歳児が約3割と最も多く、次いで2歳児が約2割を占めています。
出典: 国立感染症研究所 IDWR 2024年第27号<注目すべき感染症> 手足口病
5歳以下が中心ですが、小学生や大人でも感染するケースがあります。また、1つの夏に2回かかることもあります。これは、手足口病を起こすウイルスが複数種類存在するためです。
原因となるウイルス
手足口病の原因ウイルスとして、現在主に以下が知られています。
- コクサッキーウイルスA6(CA6)
- コクサッキーウイルスA16(CA16)
- コクサッキーウイルスA10(CA10)
- エンテロウイルス71(EV71)
コクサッキーウイルスA6(CA6)に感染すると、お腹や背中・おしりなど体幹にも広範囲に発疹が現れやすい傾向があります。感染するウイルスの種類によって症状の出方が異なる場合があるため、疑わしい症状があればかかりつけ医に相談しましょう。
手足口病の症状と経過
結論から言うと、ほとんどの場合は発症から3〜7日で自然に回復します。
潜伏期間
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、一般的に3〜5日程度です。この間は見た目には元気に見えますが、すでにウイルスを排出していることがあります。
主な症状
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 口の中の水疱・口内炎 | 舌・歯ぐき・頬の内側などに現れ、食べるときに痛みを伴う |
| 手のひら・足底の発疹 | 2〜3mmの水疱が複数できる(足の甲やおしりに出ることも) |
| 発熱 | 38℃以下の軽度のことが多い。高熱は比較的少ない |
| 食欲低下 | 口内炎の痛みで食べたがらなくなる。ぐずりが増えることも |
発熱は軽度のことが多く、38℃以下にとどまるケースがほとんどです。中には熱が出ないまま発疹だけが現れる場合もあります。口内炎の痛みで哺乳を嫌がる赤ちゃんもいるため、水分補給の状態を注意深く観察することが重要です。
回復までの目安
発疹は1週間前後でかさぶたになり、自然に回復していきます。口の中の水疱は数日で治まることが多いですが、その間は食事を嫌がったりぐずったりすることがあります。水分がしっかり取れていれば、焦らず様子を見ましょう。
感染経路と感染しやすい場所
手足口病の感染力は比較的強く、次の3つの経路で広がります。
3つの感染経路
- 飛沫感染 — せきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込む
- 接触感染 — 水疱の中のウイルスや、感染者が触れたおもちゃ・ドアノブなどを介する
- 糞口感染(経口感染) — 便に排泄されたウイルスが手を介して口に入る(おむつ交換後の手洗いが特に重要)
感染が広がりやすい場所
- 保育園・幼稚園などの集団保育の場
- 公園の遊具・砂場
- 夏のプールや水遊びの場
特に注意が必要なのは、症状が回復した後も数週間〜1ヶ月以上、便の中にウイルスが排出され続ける点です。外見上は元気に見えても、感染源になり得るため、登園再開後もトイレ・おむつ替えの後の手洗いを徹底しましょう。
家庭でのケア方法
手足口病に特効薬はなく、家庭でできる対症療法が基本です。子どもの様子をこまめに観察しながら、以下のケアを実践しましょう。
① 水分補給が最優先
口の中に水疱ができると、痛みで飲食を嫌がるケースが増えます。特に乳幼児は短時間で脱水になりやすいため、こまめな水分補給が最重要です。
- 冷たくして飲みやすくする(冷やすと痛みが和らぐことがある)
- 経口補水液・麦茶・薄めたスポーツドリンクなども活用する
- 酸味の強いジュース(オレンジ、グレープフルーツなど)や炭酸飲料は口内炎を刺激するため避ける
② 食事の工夫
口内炎が痛む時期は、刺激の少ない柔らかい食べ物を試してみましょう。
- 冷やしたゼリー・プリン・ヨーグルト
- 冷ました柔らかいおかゆ・うどん・スープ
- アイスクリーム・ラクトアイス(少量から)
熱い食べ物・塩味の強いもの・スナック菓子など、刺激のある食べ物は痛みを増強させるため控えましょう。
③ 発熱・痛みへの対応
38℃以上の熱が続く場合や、痛みでひどくぐずる場合は、医師に相談したうえでアセトアミノフェン成分の解熱鎮痛剤の使用を検討することがあります。
注意: アスピリン系の解熱剤(大人用の薬)は子どもに使用しないでください。ライ症候群などの重篤な副作用のリスクがあります。薬の使用は必ず医師・薬剤師の指示に従いましょう。
こんな症状は要注意!すぐに受診を
手足口病はほとんどの場合、自然に回復します。しかし、まれに重篤な合併症を引き起こすことがあります。子どもに次のような症状が現れた場合は、速やかに小児科・救急外来を受診してください。
手足口病で起こり得る合併症
- 無菌性髄膜炎: 強い頭痛・高熱・嘔吐・首が硬くなる(頸部硬直)
- 脳炎: 意識もうろうとする・けいれんが起きる(非常にまれだが重篤)
- 急性弛緩性麻痺: 手足の力が急に弱くなる
- 心筋炎・神経原性肺水腫: 非常にまれだが、重症化することがある
出典: 厚生労働省 | 手足口病
すぐに受診・救急車を呼ぶべき症状チェックリスト
- 39℃以上の高熱が続いている
- 何度も嘔吐している
- ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い
- けいれんが起きた
- 首が硬くなり、あごを胸につけにくそうにしている
- 手足の力が急に入りにくくなった
- 急に様子がおかしい、顔色が悪い
「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら、迷わず医師に相談することが大切です。
保育園・幼稚園への登園について
手足口病は学校保健安全法に定める第2種・第3種感染症(出席停止疾患)には指定されていないため、法律上は「発症後○日間は登園禁止」という義務はありません。
登園再開の目安
こども家庭庁の保育所における感染症対策ガイドラインでは、保護者が「登園届」を記入して提出することが求められる場合があります。以下の状態になったら、各施設に問い合わせてみましょう。
- 発熱が治まった(37.5℃未満が目安)
- 口内炎の痛みが和らぎ、食事・水分がとれるようになった
- 元気が回復し、日常生活が送れる状態になった
かかりつけの小児科医に確認してから登園するのが最も安心です。施設によって独自の基準(発疹が完全にかさぶたになるまで登園禁止など)を設けている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
登園再開後も気をつけること
回復後も数週間は便の中にウイルスが残ります。次のことを心がけて集団感染の拡大を防ぎましょう。
- トイレの後・食事の前後の手洗いを丁寧に(石けんで30秒以上)
- おむつ交換後は必ず手を洗う
- タオルの共有を避ける
手足口病の予防方法
現在、手足口病に対する有効なワクチンはありません。そのため、日常的な衛生管理が予防の基本になります。
| 予防策 | ポイント |
|---|---|
| こまめな手洗い | 石けんで30秒以上。食事前・トイレ後・外出後・おむつ替え後は必須 |
| タオルの共有禁止 | 家族間でも個別のタオルを使い分ける |
| 共用おもちゃの消毒 | こまめに水洗いや拭き取り消毒を |
| 排泄物の適切な処理 | おむつはすぐに捨て、処理後は手を洗う |
| 流行情報の確認 | 保育園からのお知らせをこまめにチェックする |
子どもが通う保育園や幼稚園で「手足口病が流行しています」という連絡があった場合は、家庭でも普段以上に手洗いを徹底しましょう。
まとめ
- 手足口病は口・手・足に水疱が出るウイルス性感染症で、毎年6〜9月に乳幼児を中心に流行する
- ほとんどの場合は3〜7日で自然に回復するが、まれに無菌性髄膜炎・脳炎などの重篤な合併症を起こすことがある
- 家庭でのケアは水分補給の徹底が最優先。柔らかく刺激の少ない食事で口内炎の痛みを和らげる
- 高熱が続く・けいれん・ぐったりしている・何度も嘔吐するなどの症状があれば、すぐに小児科を受診する
- 法定の出席停止期間はないが、発熱が治まり食事・水分がとれる状態になったら、施設に確認してから登園する
- ワクチンはなく、手洗い・タオル共用禁止・おむつ交換後の手洗いが予防の基本
- 症状が回復した後も数週間は便にウイルスが排出されるため、衛生管理を続けることが重要
手足口病は「よくある夏の感染症」ですが、重症化リスクがゼロではありません。子どもの様子をしっかり観察して、少しでも「いつもと違う」と感じたら迷わず小児科に相談するようにしましょう。おはママ編集部は、育児中のママたちの健康に関する心配事に寄り添う情報を今後もお届けしていきます。
よくある質問
- Q. 手足口病はどのくらいで治りますか?
- A. 一般的に発症から3〜7日で自然に回復することがほとんどです。ただし、まれに無菌性髄膜炎や脳炎などの合併症を引き起こすケースもあります。高熱が続く・ぐったりしている・何度も嘔吐するなどの症状があれば、すぐに小児科を受診してください。
- Q. 手足口病は大人にもうつりますか?
- A. 大人にも感染する可能性があります。免疫がない場合は子どもより症状が強く出ることもあります。感染予防の基本は、丁寧な手洗いとタオルの共有を避けることです。子どもの看病後も手洗いを徹底しましょう。
- Q. 保育園・幼稚園にはいつから登園できますか?
- A. 手足口病には法定の出席停止期間がありません。発熱が治まり、本人の体調が回復して食事・水分がとれるようになることが登園再開の目安とされています。各施設の方針に従い、かかりつけ医にも確認してから登園しましょう。
- Q. 手足口病に特効薬や予防接種はありますか?
- A. 現在のところ、手足口病に対する特効薬もワクチンもありません。家庭でのケアは対症療法(水分補給・口内炎の痛み対策)が中心になります。発熱や痛みがつらい場合は、医師の判断で解熱鎮痛剤が処方されることがあります。
- Q. 手足口病に何度もかかることはありますか?
- A. 手足口病を起こすウイルスは複数種類あるため、1度感染して回復しても、別の種類のウイルスに感染して再びかかることがあります。同じ夏に2回かかるケースも珍しくないため、回復後も手洗いなど衛生管理を続けましょう。