妊娠したことがわかった時、喜びと同時に不安な気持ちも出てくるでしょう。特に初期はお腹も大きくなく、胎動もないため、赤ちゃんがちゃんと育っているかわかりません。
今回は心拍が確認できる時期や流産の種類、注意すべきことなどをご説明します。
流産とはどういうもの?
流産というのは、妊娠21週6日目までに赤ちゃんが亡くなってしまったり、妊娠状態が終わってしまったりすることをさします。
22週未満では、赤ちゃんは子宮の外では生きることができません。
流産の割合は全妊娠の15%ほどと言われています。つまり、妊婦さんの6〜7人にひとりは流産を経験することになります。
初期流産
妊娠12週未満での流産を初期流産と呼びます。流産の80%はこの初期流産であると言われますが、ほとんどが赤ちゃんに原因があると考えられています。
後期流産
妊娠12週以降、22週未満の流産を後期流産といいます。
初期流産と比べると稀ですが、流産の可能性はゼロではありません。
流産の原因にはどんなものがある?
なぜ流産が起きてしまうのでしょうか。
その原因だと言われている事柄についてご説明します。
●赤ちゃんの染色体異常
初期流産の多くは赤ちゃんの染色体異常によるものと言われています。
染色体というのは受精した時に決まっているので、それ以上赤ちゃんが育たないため、予防することができません。
母体に影響はなく、母親に非があるということもありません。
●感染症
子宮内は無菌状態でありますが、膣にはいろいろな菌があります。
通常は自浄作用があり、守ってくれるのですが、何らかの原因によって、悪い菌が子宮に入り込んでしまうことがあります。
●頸管無力症
子宮の出口である頸管が開いてしまう体質の人がいます。こちらも原因はわからないことが多いのですが、繰り返してしまう場合は、硬い糸でしばる処置をする必要があります。
流産の種類とは
流産にはいくつかの種類があります。
それぞれがどういう状態をさすのかご説明します。
出血や下腹部痛などの症状が出ていないのに、子宮の中で赤ちゃんの心臓が止まっている場合を稽留流産といいます。
エコーで胎のうは見えたものの心拍が確認できない場合などがあります。
妊娠12週未満であれば、「子宮内容除去術」という手術をします。
子宮の中身が体の外に出てしまいつつある状態を「進行流産」といいます。
中身が全部出てしまった場合、「完全流産」となり、残ってしまっている状態を「不全流産」といいます。
進行流産の場合は、出血や腹痛を伴います。
流産が3回以上連続で起こる状態を「習慣流産」といいます。
流産は誰にでも起こりうることですが、それが続いてしまう場合、母体に何らかの問題がある可能性があるため、検査が必要です。
妊娠検査薬で陽性は出たものの、エコー等で妊娠を確認する前に流産してしまう状態を化学的流産と呼びます。しかし、医学的には妊娠や流産に数えません。
流産という名前はついていますが、赤ちゃんが完全に流れてしまった状態ではなく、「流産しかけている」状態で、妊娠は継続しています。
ただ、それを止める薬などはないので、安静にするしかありません。
心拍確認ってどういうこと?
妊娠すると、「心拍」という言葉を耳にするでしょう。
この心拍が確認できるということは、赤ちゃんの心臓がきちんと動いている状態を指します。
妊娠をすると、まず赤ちゃんの袋である胎のうが確認でき、次に心拍を確認します。
この赤ちゃんの心拍が確認できて初めて「妊娠」が成立したということになります。
心拍が確認できるのは、一般的に妊娠5週目以降からと言われています。
個人差はあるものの、平均的には8〜9週目までには確認できます。
心拍を確認するにはエコーを使いますが、画面で心臓が動いているのがわかります。
これ以降に心拍が確認できないと流産の可能性もありますが、排卵期の遅れなどにより、妊娠週数がずれているという可能性もあるので、なるべく安静にしましょう。
心拍確認ができたら流産はしない?
心拍が確認できると、流産する確率はぐっとさがると言われています。
ですが、0%ではありません。
心拍が確認できてからも、赤ちゃんが小さいままで育たなかったり、心臓が弱かったりする場合があります。
その場合も、妊娠初期の流産の原因は赤ちゃんの染色体異常であることがほとんどなので防ぎようがありません。
流産の兆候とは?
「もしかして流産?」という不安がよぎることがあるかもしれません。
どのような兆候があるか列記します。
基本的に妊娠中に出血することはありません。
状態にもよりますが、出血すると流産の可能性が高くなります。
生理痛と同じような下腹部痛があり、しかも出血が増えたという時は進行流産の可能性があります。胎のうが見えていない状態で腹痛がある場合は、子宮外妊娠の可能性があります。
医学的根拠はないとされていますが、流産経験者の中には、急につわりがなくなったという人もいます。妊娠初期で急につわりがなくなり、不安に感じた場合は受診しましょう。
このほかにも基礎体温が下がるなどの兆候を訴える人がいますが、症状は人それぞれでもあります。きちんと病院を受診しましょう。
流産にならないように注意したいこと
初期流産のほとんどが赤ちゃん側に原因のあるものが多いということはお話ししました。
でも、妊娠初期のうちにママが気をつけられることはあります。無理のないよう生活できるようにしましょう。
飲酒、喫煙は避ける
タバコやお酒は流産しやすくなる一つの原因ではないかと言われています。
また、そうでなくても、赤ちゃんが育たなかったり、早産の原因になったりもします。
妊娠が判明したら、飲酒や喫煙はやめましょう。
安静にする
流産の原因は赤ちゃんにあることが多いので、安静にしていたから絶対に流産しないというわけではありません。
しかし、激しい運動をしない、重い物を持たないなど体を酷使しないようにしましょう。
医学的な処置をする
流産を繰り返している場合などは薬や手術で、流産しないように対処することがあります。
サプリメントをとる
病院への相談が必要ですが、葉酸やビタミンEなど子宮や胎盤の形成にいいサプリメントをとるのがいいとされています。ただ、過剰摂取には注意するようにしましょう。
まとめ
流産の原因や症状をご説明しましたが、初期流産は赤ちゃんの染色体異常が原因であることが多いです。
もし流産でも自分を責めないようにしましょう。
また、少しでも心配なことがあれば、病院に受診するようにしましょう。ですが、心配しすぎはよくないので、リラックスして過ごせるといいですね。