妊娠中に、「おなかの張り」という言葉を耳にすることがあります。でも、実際、どういう状態が「おなかが張る」ということなのかわかりにくいかもしれません。
今回はおなかの張りとはどういうものか、その確認方法や気をつけたい状態をご紹介します。
おなかが「張る」ってどういうこと?
赤ちゃんを守る子宮は筋肉でできています。
普段はこの筋肉はやわらかいのですが、何からの刺激が加わることで筋肉が緊張するのです。その時、おなかがキュッとかたくなることがあります。
この子宮収縮の状態を「おなかの張り」といいます。
このおなかが張るという感覚はいろいろな言葉で表現されます。
・下腹部が重い
・おなかがかたい
・子宮がかたくなっている
・おなかがカチカチ
・おなかが張り裂けそう
・バレーボールのようなかたさ
・おなかがカチンコチン
感じ方はそれぞれですが、一般的には筋肉がかたくなった状態をさします。
おなかが張る原因とは
では次に、なぜおなかが張るのか、その原因をご説明しましょう。
子宮の収縮のため
子宮の筋肉は普段は柔らかいのですが、ママが動いたり疲れたりするとそれが刺激となり、収縮します。
また、妊娠という身体やホルモンの変化により、子宮の収縮が起こります。これは生理現象であるため、朝起きたらおなかが張っていたなどは特に問題がありません。
子宮が大きくなるため
子宮の大きさというのは普通、50ミリリットル程度の容積と言われていますが、出産時には4リットルにもなります。
小さな子宮が大きく膨らむにつれて、子宮を包む膜が膨らんでいきます。その時につっぱるので、「張っている」と感じるのです。
靭帯がひっぱられるため
子宮を支えるいろいろな靭帯があります。子宮が大きくなるにつれて、この靭帯もひっぱられていきます。
皮膚がつっぱるため
子宮が大きくなると、体の皮膚の表面も同様に膨らんでいきます。
医学的には影響ありませんが、おなかに妊娠線ができてしまうことがあります。
おなかの張りはどうやって確認する?
まず、なるべくいつもお腹を触るようにしましょう。
おなかが張っていない柔らかい状態を知っておくと、すぐに変化に気づくことができます。
おなかが張っている感覚があったら、
・押しても指が入っていかないかどうか
どんなときにおなかの張りを感じる?
どのような時におなかが張りやすいか、ご説明していきましょう。
・長時間同じ姿勢を続けていた時
・不安やストレスを抱えていた時
・冷えるなどおなかが冷たくなった時
・おなかがしめつけられた時
・妊娠中期から始める胎動による張り
妊娠中は精神的にも肉体的にも変化があります。
必要以上に動いたり、無理な姿勢をとったりすると、負担がかかります。
なるべくリラックスを心がけましょう。
おなかが張りやすい人の特徴
どういう時におなかが張りやすいかは前項でご説明しました。
では、おなかが張りやすい人の特徴というものはあるのでしょうか。
・ストレスをためやすい
・疲れやすい
・冷え性
上記に当てはまる方は、お腹が張りやすいことが多いのです。
妊娠中は無理をせず、「おなかが張っているかも」と思ったら、すぐに横になるなど休憩をとるようにしましょう。
おなかの張りを感じたらどうすればいい?
おなかの張りといっても、普通のおなかの張りと、マイナートラブルの両方があります。
おなかの張りを感じたら、まず横になりましょう。外出中の場合は、すぐに座ったり、よりかかったりできるところを探しましょう。
また、できれば以下のこともしてみましょう。
体を温める
……温かいものを飲んだり、お風呂に入ったり、お腹をあたためましょう。
おなかを固定する
……腹帯や産前ガードルでおなかを支えましょう。
赤ちゃんに話しかける
……おなかをさすりながら、赤ちゃんに話しかけてあげましょう。リラックスできます。
しばらく体を休めて張りがおさまるのなら、心配はありません。
もし様子を見ても、張りがおさまらなかったら、以下をチェックしましょう。
・1日に張る回数が10回以内か
・張る間隔が短くなっていないか
おなかがカチカチにかたくなり、痛みが激しくなったら、胎盤早期剥離の可能性もあるので、早めに受診してください。
病院に行った方がいいおなかの張りとは?
前述のとおり、おなかが張っても、休んでみて張りが弱くなっていけば問題ありません。
一方で、以下のような症状が出たら、すぐに受診しましょう。
・張りと痛みがひどくなる
・1時間以上張り続けている
・1日に何回も張る
・出血がある
張りが気になり、大丈夫かどうか自分で判断できなかったら、すぐにかかりつけの病院に相談しましょう。
まとめ
妊娠中はおなかが張るだけでなく、いろいろな体調の変化があります。
それはお腹の赤ちゃんからのサインかもしれません。
小さなことも見逃さないよう、いつもと違う症状が出たら、病院を受診するようにしましょう。