ただでさえ出産後は思い通りにいかないことが多く、ホルモンバランスが崩れて涙が出たり、落ち込んだりしてしまいがち。でも、新型コロナウィルスの影響で外出する機会が減り、孤独感が高まったことで「産後うつ」症状のあるママが急増しています。まずは症状を自覚することが大切。今回は産後うつのチェックや対処方法をご紹介します。
そもそも「産後うつ」とはどういうもの?
コロナ禍で「産後うつ」という言葉をよく耳にするようになりました。
そもそも「産後うつ」とはどのような症状なのでしょうか。
これは、妊娠中から産後にまで続くうつ病の一種で、気分の落ち込みがあったり、憂鬱な気分になったりする精神的症状があったり、頭痛や不眠などの身体的特徴が出たりします。
そのうち、涙もろさや不安定な気分などはマタニティブルーズと呼ばれ、生活や育児への支障はほとんどないと言われています。
でも、抑うつ気分や不眠などが続く場合は、産後うつ病とされ、短期間で重症化しやすいとも言われています。
病院を受診していない潜在的な産後うつの方を含めると全体の15%にのぼるとされ、適切な治療を行わないと育児放棄や虐待、死を選択するなど危険な状態を招きおそれもあります。
また、最近、「パタニティブルー」と呼ばれる産後うつ傾向の男性も増えてきています。
産後うつの原因とは
産後うつになる原因にはいろいろなことが考えられます。
出産後の経過が正常な場合でも、ホルモンバランスの変化や出産そのものによるストレスや疲労などから、産後うつ症状が出ることがあります。つまり、誰にでも起こりうることなのです。
・ホルモン濃度の変化
・夫婦関係の変化
・家族のサポート不足
・環境の変化
・妊娠、出産に関する問題や葛藤
このほか、妊娠が計画外であったことや経済的な問題など、大きなストレスや孤独感がリスクの要因になることが多いです。
新型コロナウイルスで「産後うつ」が急増
新型コロナウイルスという大きな環境の変化もあり、産後うつを訴える人が急増したと言われています。
この影響で外出の機会が減り、人と触れ合うことも少なくなりました。そのため、孤独感が高まってしまう産後ママが増えました。
また、感染が怖く、「家族以外の人と接したくない」「赤ちゃんに影響があるかも」と保健師さん等の訪問を断る人も多いのです。
ただでさえ産後の精神状態は不安定なのに、立ち会い出産や健診などが制限され、マスク生活で同じ赤ちゃんを持つママとの交流もできないとなると、思い通りの育児ができません。
子育て相談も直接できず、画面越しだったりするので、知らず知らずのうちに「産後うつ」状態になっている人も少なくないのです。
まずはセルフチェックを
頭痛や疲労などの症状がありつつも、産後うつの可能性があると認識していない方も多いのだとか。
まずは自分が当てはまるかどうかをチェックしてみましょう。
・不安・緊張・パニック
・イライラする
・希望が持てない
・集中力が弱い
・気分の変化がある
・せかせかする
・家事や仕事が片付かない
・決断力がない
・自分を責める
・自分を情けないと思う
・食欲がなくなる
・吐き気がする
・生きる気力がない
・なぜか涙が出る
・子供や夫に愛情を感じられない
こういったことが続く場合は専門機関を受診する必要がありそうです。
また、「エジンバラ産後うつ病質問表」(EPDS)を活用してみましょう。
産後うつを予防するには?
では、産後うつを予防するにはどうしたらよいのでしょう。
産後うつは何より本人のストレスを減らすことが重要です。
パートナーや家族、友人に話を聞いてもらう
一人で抱え込んでしまうのが一番負担になります。オンラインでもよいので、弱音を吐き出したり、困っていることや助けてほしい事柄などを伝えたりすることが重要です。
子育てを手伝ってもらう
子育ては母親だけがするものではありません。助けてもらったからといって、ダメな母親というわけでもありません。遠慮せずに周りにサポートしてもらいましょう。親しい人だけでなく、地域の子育てセンターなどを活用するのもおすすめです。
休憩する
母親という責任から少し解放されることも必要です。パートナーや病院などに赤ちゃんを預け、リフレッシュしましょう。それは赤ちゃんにとってもいいことです。
自分を褒めてあげる
出産は一大イベントです。「母乳で育てる」「離乳食はすべて手作り」とするのはすばらしいですが、完璧を求めてしまうと気分が落ち込むおそれもあります。
散歩をする
天気のよい日に外出するだけで気が晴れることがあります。
今は、外でママ&赤ちゃんと交流できる機会を設けてくれる施設などもあるので、そういうものに顔を出してみましょう。
周囲の人は産後ママを気にかけてあげる
育児疲れだけでなく、知らないうちにストレスを溜めているママたち。
産後の女性にら、周囲の人はどんなサポートをしてあげればいいのでしょうか。
ママのペースに合わせる
「母親になったんだから」などとは口にせず、家事、育児を協力しましょう。
むやみに励まさない
「頑張って」「やればできるよ」などという言葉をかけて、プレッシャーを与えないようにしましょう。
休養や睡眠をとらせましょう
できるだけ母親に寄り添い、体力や気力を回復させましょう。
一人の時間をあげましょう
ママは赤ちゃんと別の行動をとるだけで非難されていると感じることも。買い物や美容院など積極的に行かせてあげましょう。
治療をうながしましょう
上手に薬を使うよう声をかけ、安心させましょう。
話を聞いてあげましょう
ただゆっくり、ママの話を聞いてあげましょう。パートナーの場合は一緒に治療を受けることも大切です。
まずは誰かと関わりを持って
赤ちゃんの世話だけでなく、自分自身が辛くなってきたら、医療機関を受診しましょう。
外に出るのがこわければ、まずはオンラインでもよいです。
・かかりつけ医
・保健サービス
・地域の救急外来
・産後ケア事業
上記に連絡してみるのも一つの方法です。
まとめ
2度目の緊急事態宣言で、産後のママたちが置かれた環境は厳しいものになっています。
気分が落ち込んだり、子育てに悩んだりしたら、まずは誰かに相談しましょう。赤ちゃんのためにも自分自身のためにも、重症化しないようにしましょう。