今年に入って全国の「百日咳」患者が1万1100人に達したと発表されました。症状が軽い大人が受診しないまま、赤ちゃんにうつしてしまうケースも報告されています。新生児が感染すると死亡するリスクも!こちらでは「百日咳」の症状や予防法について詳しくご紹介します。
「百日咳」はどんな病気?
百日咳とは、百日咳菌、バラ百日咳菌による呼吸器感染症のことで、激しい咳が特徴です。百日咳は鼻、のど、気管、気管支の粘膜が侵され、軌道の繊毛運動を低下させる毒素を作り出すことが原因と言われています。
「百日咳」の症状は?
百日咳はカタル期、痙咳期、回復期に分けることができます。
カタル期
カタル期では約10日間の潜伏期間を経て、鼻水や軽い咳などの初期症状が現れます。カタル期は約1~2週間続きます。
痙咳期
痙咳期には激しい咳が連続的に起こります。呼吸時にヒューという笛のような音がするのも特徴です。激しい咳により体力が消耗され、嘔吐やむくみを起こしたり、食事や睡眠が困難になることもあります。痙咳期は2週間~6週間ほど続きます。
回復期
回復期には気道に生じた粘膜損傷が回復するまで咳が続くことが多くあります。完全に回復するまで数カ月かかることもあります。
ただし、新生児や乳児の場合には上記のような経過をたどらない場合もあります。新生児~3か月までの乳児では咳の症状はなく、無呼吸やチアノーゼを起こすことがあります。乳児の合併症としては肺炎、けいれん、脳症などがあります。まだ予防接種を受けていない新生児にはとても危険な病気です。
百日咳にかかってしまったら?登園・登校は?
百日咳にかかった場合には、学校保健安全法により咳が出なくなるまでは登園・登校できません。また抗生物質を服用して5日以上経過していれば感染力がないと考えられるので登園・登校が可能となります。
「百日咳」の治療法や予防法は?
百日咳にかかった場合、治療初期に抗生物質を服用するのが効果的だと言われています。しかし、初期診断は難しく、痙咳期以降の服用では咳が止まるというよりは周囲への感染防止に効果がみられます。
百日咳は風邪と間違われやすく、血液や唾液による検査によって抗体の有無を調べなければわかりません。小学生以上の場合は、咳が長引いた後、百日咳と気が付かないまま自然に終息することも多いようです。
予防法
百日咳は咳や痰、唾液などによる飛沫感染がほとんどです。百日咳を含む3種混合や4種混合の予防接種が効果的ですが、ワクチンの効果は約10年ほどで消失するので追加接種が推奨されています。日本でも11歳~12歳で摂取する2種混合ワクチンが将来的に百日咳を含む3種混合に変更されるものと思われます。
百日咳は感染力が強く、家族内での感染率は80%~90%と言われているので注意しましょう。
まとめ
百日咳の流行、お子さまのいるご家庭は心配ですよね。赤ちゃんはもちろん、小学生でも長引く咳はつらいものです。いつもと違うなと感じたら早めに受診することが大事です。