夫婦二人で待ち望んだ可愛い赤ちゃん。
夢にまで見た幸せな生活・・・
それなのに、産後の夫婦関係におとずれる「産後クライシス」という危機。
テレビなどで取り上げられることもあるので、聞いたことがある人もいると思います。
実際に子どもが産まれてから、なんとなく夫婦仲がうまくいかない…と感じている人も多いのではないでしょうか?
どうして「産後クライシス」といわれるような状況になってしまうのでしょうか?
また、乗り越えていくにはどうすべきなのでしょうか?
産後クライシスとは?
産後クライシスとは、産後2~3年までの時期に、夫婦仲に亀裂が入り関係が悪くなってしまうことを表しています。
NHKの情報番組でつくられた造語ですが、社会的な反響がとても大きく、それ以降もテレビや書籍などで取り上げられることが増えています。
産後クライシスの時期は産後2年ぐらいですが、その間に関係を修復できずに離婚してしまったり、その後も夫婦関係の悪さをひきずってしまう場合もあります。
実際に厚生労働省の調査では、母子家庭の3割は子どもが0~2歳のときに離婚しています。
- 大好きだった夫なのに、産後は夫に愛情を感じない
- 夫のささいな言動が気になり、イライラする
- 夫とのスキンシップに嫌悪感を感じる
- 家事や育児を手伝ってくれているのに、なぜか腹が立つ
- 夫が帰ってくる時間になると、なんとなく気が重い
- 毎日疲れがとれず、なんとなく心身ともに体調が悪い
思いあたることはありませんか?
当てはまることが多ければ、もしかしたら産後クライシスに陥っているかもしれません。
産後クライシス、なぜ起こる?
最悪、離婚の可能性もある産後クライシス。
赤ちゃんも生まれて幸せなはずが、なぜそのような状況になってしまうのでしょうか?
原因は一つではありません。
ママだけのせい、パパだけのせいではないのです。
さまざまな要因が、絡み合って起こるといわれています。
1.産後のホルモンバランス
出産後の気が立っている動物に例えて、産後のイライラ期を「ガルガル期」なんていわれたりもしますよね。
産後のママの身体は、ホルモンバランスが急激に変化します。
ホルモンバランスが乱れると、自律神経にも影響します。
そのため、さまざまな体の不調だけでなく、イライラしやすくなったり、わけもなく悲しくなったり、攻撃的になったりと精神的に情緒不安定になりやすいのです。
このホルモンバランスが完全に戻るには、1年半ぐらいかかるといわれています。
2.生活環境の急激な変化
産後のママの生活は、今までのものとは全く違ったものになります。
出産した体の回復もままならないまま、24時間休みなしの赤ちゃんのお世話。
子ども中心の生活で、自分のために使える時間は極端に減ってしまいます。
人間関係も、外出もままならず、どうしても子供をとりまく人間関係に限定されがち…。
我が子は可愛い。でも、そのような生活が続くと、どうしてもストレスはたまる一方です。
そんなママに比べて、パパの生活は仕事中心であまり変化がなかったら…。
しかたがないとわかっていても、「どうして自分ばっかり…」と、パパに対して不満がたまっていってしまいます。
3.「イクメン」は当たり前?
「イクメン」という言葉が一般的になって、ずいぶんたちますよね。
日曜日の午前中など、パパだけで子どもを公園に連れてきている姿もよく目にします。
それでも日常的に家事や育児に参加できているパパって、実際どれほどいるのでしょうか?
パパは「日曜日に子どもと遊んでやってるし、ゴミだしもするし、自分はイクメンだ」と思っているかもしれません。
でも、ママからしたら「ただ遊んでいるだけ」「家事を手伝っているつもりで、余計に手間が増える」と感じている人も多いのではないでしょうか。
男性の家事・育児参加への理想と現実のギャップ、妻と夫の「イクメン」温度差も、夫婦間にズレが生じる原因になっています。
4.夫がわかってくれない!
家事や育児の大変さについて、夫にわかってもらえていないと感じている人も多いのではないでしょうか?
子どもに振り回され、何一つ予定通りに進まないイライラや達成感のなさ。
社会から取り残される孤独感。大切な子どもを24時間守るプレッシャー。
そういった大変さは、経験者にしか理解しにくいものです。
夫の無理解からくる発言に腹が立ったり、嫌気がさしたり…。
パパが気づかないうちに、ママの不満が限界になんてこともあるのです。
5.夫婦でのコミュニケーション不足
結婚して数年たつと、一緒にいるのが当たり前になり、家族として安心感も生まれてきます。
その反面、お互いのことをわかったつもりで、自分の気持ちを伝える努力をしなくなりがちです。
とくに産後は、ゆっくり夫婦の時間をとるのも難しい。
そんな中で、お互いの気持ちにすれ違いが生じてしまい、愛情が冷めてしまうこともあります。
最悪の結果を避けるには?
夫婦二人だけの家族に赤ちゃんが生まれることで、生活は一変。
二人の関係も大きく変わります。
恋人同士のような関係だけでなく、親として子育てのパートナーになることが求められます。
二人の間に様々な不満や葛藤が生まれるのは、むしろ当然のことなのです。
産後クライシス、乗り越えるための対処法はあるのでしょうか?
1.産後のママの身体について理解してもらおう
産後のママのホルモンバランスによる変化。
男性でそのことを知っている人は、多くないでしょう。
産後の女性の心と体の状態について、マタニティブルーや産後うつも含めて知っておいてもらうことは、とても大切なことです。
2.家事、育児を頑張りすぎない
慣れない育児に、思い通りに進まない家事…。
家事も育児も完璧にこなすのは至難の業ですよね。
自分に完璧を求めると、相手にも同じレベルを求めてしまいます。
ストレスやイライラがたまると、相手のことを考える余裕もなくなり悪循環に陥りがち。
自分を追いつめすぎず、助けてもらえるところは遠慮せずに頼りましょう。
3.パパにしてほしいこと、具体的に伝えよう
男性に「言わなくても察してよ!」はNGです。
ちょっと手伝ってもらうのに、一から十まで指示が必要…。
正直なところ、自分でやったほうが早いのも事実ですよね。
でも、パパにとっては慣れない家事、育児。
最初はかえって手間かもしれませんが、具体的にやってほしいことを伝えましょう。
やってくれたら、
「ありがとう、さすがパパ!助かったわ。」
「赤ちゃんもパパにやってもらう方が喜んでるみたい!」
感謝の言葉や褒めてあげると、やる気になってくれますよ。
4.お互いに他の家族と比べない
テレビや雑誌で見る「イクメン」「子供を産んでもオシャレなママ」。
公園で見かける家族や友人家族。
他人と比較するのはやめましょう。
外から見えている部分は一部分でしかありません。
他人と比べて不満をつのらせても、良いことは何もありません。
お互いの良いところに目を向けて、やってくれていることに感謝してみましょう。
まとめ:お互いのこと、理解しよう
夫婦であっても、子どもが生まれて初めて見えたパートナーの一面もありますよね。
自分自身の中にも、「私ってこんな人間だったんだ」と思うことありませんか?
男性と女性の違い、立場の違い、感じ方の違い…。
お互いに伝えないとわからないこと、理解しようと努力しないとわからないこと、たくさんあります。
産後クライシスはある程度は避けられないもの。
大変な時期ではありますが、家族の絆をさらに強いものにする機会と前向きに捉えましょう。
産後クライシスを乗り越えて、お互いに感謝し、支え合えるパートナーになりましょう。
子どもにとっては、両親の笑顔がなによりの栄養になりますよ!